【短編】隣の席の田中くんにはヒミツがある
「内出血してたのかしら? でも治りかけてるじゃない」

「え⁉」


 そんなまさか、と自分でも見てみると、わき腹の痣は確かに治りかけの黄色いものになっている。

 ウソだろ? さっきまで紫色になってたのに。

 見間違えなんかじゃない。

 さっきまで確かに痛みだってあったのに――って、そういえば痛みは浜田さんから花を受け取ってからほとんどなくなってる。


 まさか、浜田さんのおかげで?


「全く、これなら痛みもほとんどないんじゃない? 大げさなんだから。……でも、こんなところどうやってぶつけたの? 本当にぶつけただけ?」

「え? もちろんです」


 浮かんだ疑問をすぐに解消したかったけれど、俺はそのまま先生に話を聞かせてもらうとつかまってしまう。

 そのせいで、この日のうちに浜田さんに話を聞くことは出来なかった。
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