キミと絶対秘密の配信中！
　それからの小野寺先生の教え方はすごく丁寧で、あっという間に時間が過ぎた。
　帰りの車の中で蒼くんが興奮気味に真智さんに報告していた。

「柚里葉ちゃん、すごかったんだよ。一気に半年分進んだみたいでさ」
「半年？！　そんなに？」
「で、でも小学生の勉強だから……」

　私は驚く真智さんにそう言った。
　確かに勉強は進んだけど、まだ中学校の勉強までたどり着いていない。

　でも真智さんは嬉しそうに続けた。

「勉強が、っていうより、わかることが増えるってすてきじゃない。知らないことを知るって、大人だって楽しいもの」

　私はびっくりしてしまった。

（そういう考え方もあるんだ……）

　真智さんや蒼くんの嬉しそうな様子。それに小野寺先生に言われたこと。

（なんだか、私も嬉しいかも……）

　胸の中がぽかぽかしてきた私の口元は自然と緩んでいた。

「また、行きたいな……」
「うん。また一緒に行こう」

　私がぽつりとこぼすと、隣で蒼くんがさらに嬉しそうに微笑んだ。
< 50 / 179 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop