アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「ヘンリー、油断するな。他の公爵や侯爵家には、優秀な子息や子女がいるから」
「うん。コリン、じゃなかった、父上。わかっている。油断は禁物だよね? ノーラ、どうしたの?」

 ヘンリーがノーラに声をかけた。

 彼女、なにかを訴えようとしている。

「きみは、ここでお留守番だ」

 コリンが告げると、彼女はすでに美しいといっていい顔を左右に振った。

「いっしょに行きたいの? だけど……」

 ヘンリーは戸惑っている。
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