アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 あらためて怒りを禁じえない。

 彼女の亡くなった父親に対して。そして、彼女の叔父たちに対して。

「公爵閣下。お嬢様にはいろいろお試しいただきたく。手直しは最速でさせていただきます」

 バーナードが連絡をしてくれていたのか、店主みずから出迎え対応してくれた。

「ノーラ、どういうのがお好みかしら?」

 彼女と店主とわたしとであーでもないこーでもないと試着を繰り返した。

 その間、男性陣は店の奥にある喫茶室でお茶を飲みながら待っていた。

 途中、チラリとそちらの方へ視線を走らせると、ガラス扉越しにコリンが店の人と話をしているのが見えた。
< 118 / 303 >

この作品をシェア

pagetop