アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「アーカンソー様からご子息たちにと」

 そして、大量のケーキがのっている皿をテーブルの真ん中に置いた。

 なんてこと。

 ふつうならうれしい。シンプルにめゃくちゃうれしい。こんな粋な計らい、一生に一度あるかどうか。

 ふつうならチャールズのところに走って行き、その頬に口づけをしたい。

 だけど、いまはふつうではない。

 なぜなら、お腹の中にケーキが詰まっているから。

 そっとみんなに視線(め)を走らせた。

 みんな、「もうこれ以上ケーキを見たくない」とか「吐いてしまいそう」とか、蒼白な表情でテーブルの中央を睨みつけている。
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