アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「ゆ、許してくれ。許してくれ」

 叔父は、廊下にはいつくばって許しを乞うていた。

 コリンの鞭は、叔父を傷つけはしなかった。鞭は、鋭く空を切っただけだった。

 子どもの頃からわたしを鞭打ち、傷つけてきた叔父は、ほんとうにろくでなしだった。そして、ほんとうに弱かった。

 恐怖と傷みに堪えながら鞭打たれていたわたしの方が、ずっとずっと強かった。
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