アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「死んだ伯父さんの財産を隠しているんでしょう?」
「しぶとい()ね。父さんたちも呆れているわ」
「折檻が足りないのよ。もっと痛めつけないと」

 なんてこと。

 唖然としてしまった。

 ド派手少女たちは、ノーラという()の従姉妹かなにかに違いない。

 ノーラの痣は、少女たちやその親、ノーラからすれば叔父叔母たちの仕業なわけ?

 故人の財産欲しさに?

「だれか、ノーラをおさえつけなさいよ。わたしが殴ってやる」
「いやよ。わたしだって殴ったり蹴ったりしたいわ」
「わたしもよ」

 世も末だわ。

 ド派手少女たちの親の顔を見てみたい。

 当のノーラは、恐怖のあまりか洗面用の盥を落としてしまい、ブルブル震えている。

 ボロボロの衣服が盥の水でボトボトになっているのがここからでもわかる。
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