アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
「ミヨ、なぜだ? なぜ、叔父の借金をきみが返す?」
「わからないわ。自分でもわからないの。いっそ、縁を切って逃げてもいいのにね。だけど、亡くなった両親は、悲しむかもしれない。一生、逃げ隠れして生きていることを知ったら、情けなく思うかもしれない。まぁいまのままでも、借金取りから逃げ隠れしたり、びくびくし続けるのだけど」

 おもわず笑ってしまった。

 コリンに問われて初めて、自分でも不思議に思ったからである。

 どうして叔父親子の借金返済に奔走しているのか、ということを。

「きみはかわっているな。だが、そういうのは嫌いじゃない」

 コリンがつぶやいた。

 視線が合うと、彼は続ける。
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