アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
一瞬の静寂の後、ステージが眩い光で照らされた。すると、待ちかねたとばかりに、会場を揺るがすような歓声が沸く。
 セット大階段の最上部にシルエットが映し出されると、黄色い声がさらに大きくなった。
 BACKSTAGEメンバーは、ユウジ、ミソノ、ダイスケ、ナオ、RYOU、タカユキ、そしてHIROTOたちの登場だ。
 会場に瞬くペンライトの光は夢の中に居るようで、期待感からか心臓がドキドキと高鳴る。

 大音響の中、初っ端からフルスロットル、エンジン全開のダンスパフォーマンスが始まった。
 パフォーマンス中のHIROTOは、羽が生えているかのように軽やかに舞い上がり、それでいて、芯のある力強いダンスを魅せていた。
 独特のオーラを纏い踊り続ける姿から、私は目が離せない。
 ときおりHIROTOが客席の方に顔が向くと、大勢の中、私だと気づいているはずもないのに、目が合ったと錯覚してしまう多幸感に包まれる。
 でもそれは、きっと私だけでなく、この会場に居るすべての人が味わうものだのだろう。

 たくさんの人が、彼の名前を呼んで、振り向いて欲しいと願っている。そして、自分に微笑んで欲しいと切望している。
 
 だから私も今は、BACKSTAGE・HIROTOのファンとして、彼に想いが届くように名前を叫ぶ。

「HIROTO大好きだよ。愛してる」
 
 
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