アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!

ターニングポイントかもよ

「はぁ~」

自宅のサニタリールームで、幸せが全開で逃げ出して行くのもかまわず、肺が空っぽになるほどの特大なため息を吐き出した。
生理が来ないことに気づいた私は、不安になって居ても立っても居られずに、深夜営業の薬局に駆け込んだ。そこで、手に入れたスティック状の妊娠検査薬を使った結果。検査薬の小窓には、縦のラインが刻まれている。

いくらゴムをつけていても100%避妊など出来ないし、やることをしている以上、心あたりはあるのだ。
 でも、甘いと言われようと自分が妊娠するなんて、現実に起こるなんて思っていなかった。
 
 だから検査薬の結果を見て、いい年して情けないけれど、どうしていいのかわからず、頭の中が真っ白になっていた。

「どうしよう……どうしよう」

 そうつぶやきながら、フラフラとリビングルームに向かう。
 すると、ローテーブルに置いていたスマホが着信を告げ、画面には大都の名前が表示されている。

 1回、2回、3回と着信音が部屋の中に鳴り響く。
 私は、スマホの画面を見つめたまま、手を伸ばすことが出来ずにいた。
 
 4回、5回、6回。
 ツアーの最終日、きっと、メンバーやスタッフのみんなで打ち上げの真っ最中の時間だ。その合間を縫って大都は連絡をしてくれたのだろう。
 
「どうしよう……」

 動揺したまま、スマホを手に取り通話ボタンをスワイプした。

 
 
 
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