アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
 首筋を撫でる大都の指先にピクリと反応してしまう。
 
「ん、お姉さん、可愛いな」

「意地悪、言わないで……」

 可愛いっていうのは、守ってあげたくなるようなか弱い女の子に使う言葉だと思う。子供の頃ならまだしも物心ついてから言われたことがない。その反対にしっかりしすぎて可愛げが無いと言われことはある。私には、似つかわしくない言葉だ。
 それなのに大都はそれを否定する。

「意地悪じゃない。本当のことだから」

 大都は頬にキスを落とした。そして、唇をずらし、耳たぶを柔らかく喰む。
 耳に吐息がかかり、くすぐったくて身をよじる。すると、耳元で大都が囁く。
 
「ほら、可愛い。もっと、可愛いところ見せてもらおうか」

 私の背中を支えていた腕が動いた。指先が背筋をなぞり、腰のあたりまで下りてくる。
 ゾクゾクと甘い電気が走り、またピクリと反応してしまう。
「意地悪ね」と大都を見つめると「そんなことないよ」とごまかすような軽いキスを落とす。

 こんな甘い時間は心が落ち着かない。
 いつか後悔するとわかっているのに、走り出した心を止めることが出来ずにいる。
 
「ねえ、ベッドに行きたいわ」
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