Flower~君の美しい記憶の中で今日も生きていたい~
𓂃◌𓈒𓐍

「大学に行きたいだって?!!その金は誰が出すんだ!!!」


大学のパンフレットを義母がグシャリと握りつぶして怒鳴る。極めつけには筒状に丸まったパンフレットで私を叩く。


__痛い、やめて


「あの幽霊女、将来は海外で働きたいらしいよ。どこへ逃げたって価値のない女なのにね」


__夢を汚さないで



目まぐるしく場面が変化する。どのシーンでも共通して私を嫌う人が出てくる。


また場面は変わった。いつもの花畑だ。だけど青空とかではなく真っ白い背景。


花畑の真ん中で1人佇む後ろ姿があった。すらりとした背中に黒い髪の彼。


「恭介さん!!」


名前を呼んで彼の前へと回り込んだ。普段と何ら変わらぬ瞳が私を貫く。嫌な人ばかりだったから彼が出てきて嬉しくなった。


「君は大学にも海外にだって行ける」


「……ほんとう?」


恭介さんの手が私に伸び、そして頭を撫でる。


都合がいい夢にも程がある、と思った。助けてくれるのは出会ったばかりの彼だ。それでも私の人生ではお母さん以外にいなかった。

恭介さんは手を止めず頷いた。

「嘘はつかない。俺が保証する」


「……うん」


「やがて今ある苦しみも消える。だから泣くな」
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