私を導く魔法薬

私の決めた道

 城に着いたダリアは、国王に魔族の身でこの国に来た経緯と、泉のそばに越した理由を当然問われる。
 彼女は先ほどの娘のためにもなんとしても分かってもらおうと、意気込んで言った。

「私の能力を、この国のために活かしたい…具合の悪い相手の状態をよく診た上で、自前の薬を売ってあげたいの!そのためにはあの泉の綺麗な水が必要だから…お願いします、王様…!!」

 聞けばこの国には貧民たちにも対応するしっかりとした医者がいないらしい。

 魔女がしばらく懸命に熱意を伝えると国王からの許可が降り、店を出せることになった。

 それでも魔力を基本的に持たない者たちの国のため、いくつもの制限が付けられた。

 この国には彼女のほか魔力を持つ者たちが少数ではあるが申請し、制約を持って暮らしているらしい。

 制約の内容は主に、
 身に危険を感じたときでも相手を傷付ける魔法は禁止、薬を作るとき以外は簡単な魔法でも極力使わないこと、危険薬は国の許可を必ず取ること、など。
 当然、その他の細かな制約も付けられる。

 魔族の国から支給されている魔力制御の腕輪を貰い、申請はようやく完了した。


 彼女は歩いて自分の家に帰ると、森の入口と店の前に立て看板を置いた。

《―魔女の薬屋― 症状を診て薬を売ります》


「見てなさい、絶対に見返してあげるわ…だからまた必ず、いつか…!」

 彼女の店は果たして上手くいくのか。
 それはいつか、またの機会に…


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