キミの翼が羽ばたく時。


「雫!」
そう言って駆け寄ってきたのは、今より幼いお兄ちゃんだった。




「お兄ちゃ…っ」
幼い私はさう言ってお兄ちゃんに抱きついた。

そのひょうしに自分の頬についた泥を払いながら、お兄ちゃんは私を抱き起こした。
「また泣いてるの?」

お兄ちゃんはフフッと笑いながら私の涙をぬぐった。

「ちゃんといい子でいないと、お母さんたちも仲良くなってくれないよ。」
お兄ちゃんはそう言うと私を立ち上がらせ、スカートについた土をはたいた。

「…あのね雫。もしかしたらお母さんたち、りこんするかもしれないんだ。」
お兄ちゃんはそう寂しげな瞳で言った。



『離婚』と言うことばの音程がおかしかったのは、まだその意味さえ理解できていない年頃だからだろう。


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