【コミカライズ】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~

プロローグ

 何もかもリセットして、別人として生き直したい。

 そう、思ったことはないだろうか?

 これは、妹に殺人の濡れ衣を着せられ、『罪人』として追放された令嬢の、愛と再生の物語――。





 こもれびが降り注ぐ昼下がり。
 私、エスター・ロザノワールは、自室で旅行の準備をしていた。
 
「お姉様! 入りますわよ!」
 
 ノックとほぼ同時に部屋へ入ってきたのは、一つ年下の妹・ミーティア。

「お姉様宛ての招待状を持ってきましたの!」

 やけに上機嫌な妹が、封筒とペーパーナイフをずいっと差し出してきた。

 嫌な予感がしたが、あまりの強引さに、私はそれらを渋々受け取る。
 
「あ、ありがとう……」
 
「さぁさぁ、早く開けて! はやく、はやく!」

 私が右手でペーパーナイフを握った瞬間、いきなりミーティアが覆い被さってきた。
 
 なに!? と叫ぶ間もなく、彼女が私の右手をつかみ、ナイフの切っ先を自分の腹部に向けて――突き刺した。

 
 ぎゃあああっ、という尋常じゃない悲鳴が妹の口からほとばしる。


「たすけてーーッ!!! お姉様に、ころされるーーー!!!」
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