香道部の佐山くんに初めての恋をしました。
第1幕

◇転校





「うわぁ〜〜やっぱり大きいなぁ」

 四月の中旬。桜はほとんど散ってしまったが私――星野(ほしの)香花(かな)は、中高一貫(ちゅうこういっかん)校である中等部(ちゅうとうぶ)に転校してきた中学一年生。

 転入試験を受けた時に来たけど、やっぱり大きくてびっくりしてしまう。学校に入ると先生からクラスと番号を聞いていたのでくつを靴箱へと入れた。上履きに履き替えて中等部の職員室へと向かった……のだけど。


「え、まさか迷子!?」


 どうしよう、本当に迷っちゃったみたいだ。誰かに聞こうとも、少しだけ早く来たからか人がいない。運動場になら、いるのに。


「……どうしたら、いいんだろう。だれかいないかなぁ」


 ブツブツ言いながら歩いていると「きみ、どうしたの?」と声を掛けられる。

 その人は栗茶色の髪を天然パーマなのかふわふわの短髪に、学ランを着た男の子。


「あっ、えっと、あの、迷ってしまって」

「あぁ! 一年生、だね? クラスはどこ?」

「それは、わからないんですけど……転校してきたばかりで、あっ職員室に行きたくて」

「そうなんだ、なら、俺も行く方向が同じだから一緒に行こう」


 この学校は中等部と高等部があるため、制服も分かれている。
 中等部は、男子は紺色の学ランで女の子はブラウスに紺色のジャンスカでその上にボレロを着用。高等部は、男の子はカッターシャツにネクタイ、ジャケットで女の子は中等部と同じジャンスカだが、ボレロが腰より上の長さのジャケットになる。



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