香道部の佐山くんに初めての恋をしました。



「……っ、さ、さ、佐山くんっ」

「あ、……ごめん」


 そこで謝られると、とても恥ずかしいんだけど!


「だ、大丈夫っ……あ、ありがとう」


 お礼だけ言って私は目を逸らした。なんだか気まづかった。

 それから、園内を回ってお土産を買いに行った。私はお母さんに買ったけど、佐山くんは大きい箱のお菓子を二個も買っていた。


「佐山くん、高田先輩には何がいいかな」

「……これ、かな」

「数少ないし、いいね。じゃあ、これ買ってこう」

「ん」



 だが、それからというものの佐山くんは「ん」とかの返事しか来なくなってどうしたのかななんて思ったけど――この日はなんでか分からなかった。



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