クールな黒淵くんは甘い。


う、嘘でしょ…。

そのまま手を引かれて来た場所は、東屋前の告白場所だった。

周りにも下にもいっぱい人がいて、私達の方を向いて、キャーという声を上げる人など、たくさん。

春華ちゃんの告白は終わったのかな…。

花火がバンと打ち上げられ、散っていく。

皆んな黒淵くんを見て、見上げて、言葉を待った。

黒淵くんがマイクを手に取る。


「俺は秋華結衣が好きです。結衣付き合ってください。」



キャーーという甲高い声と親分と叫ぶ声と色んな声がして、私は不覚にもやられたと思った。


黒淵くん、外堀埋めにきたな…。


私にマイクを渡す黒淵くんはちょっと意地悪そうな顔で笑った。


「……私も好きです。」



キャーと、二度目の甲高い声がして、黒淵くんは私の手を繋いだ。


恋人繋ぎだ…。そのまま額に口づけ、抱きしめられた。


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