麻衣ロード、そのイカレた軌跡❺/二つの情念、炎上す
その3
多美代


さあ、相川先輩と南部さんはどんな反応を示すか…

「夏美…、高本やミキさんには、以前言ったことがあるんだが…。今回の再編は俺たちの下の代、しかも女の子同士が核になると感じてた。おそらく、ここまできての明日は、南玉だの紅組だの、向こう側のキャビネットだのという枠組みは二次的なところに置かれて、これからの向かう方向が決する…。そんな流れでさ、もう止まらないと思うんだ」

私は思わず目が点になった


...


「じゃあ、南部さんは明日、表裏でさんざん組織的に攻勢をかけてきた本郷が、ここまできて、その視界とするのは南玉連合の部外者である横田競子なんだと、そう言うのね…」

「無論、都県境全体のフレームをかけた対決の構図は土台となってるさ。俺たちやお前なんかが主張する、紅丸さんの構築したフレームを守る理念と、それを踏襲する一部の集団への反発から、一旦その枠組みをひっくり返す…。そして今の情勢に即した再編を成し、多くの猛る女たちによる、一層の赤塗りを推進する理念の戦いだよな」

うん、これは分かりやすい…

更に南部さんの分析は続いたよ


...


「…だが、本郷はさ、”そこ”は他の人間たちに預けちゃう気でいるように思えるんだ。ヤツ自身にとっては、”そこ”よりももっと個人的にコアなところでの決着を臨んでる…。まあ、それが合田荒子なのか競子ちゃんなのかは微妙なところだが…」

「そうだとするならばよ、明日は一体私たち、どう臨めばいいの?」

「…俺にはどうも本郷麻衣がさ、そのお膳立てすべてを整えてくれるんじゃないかとね…。そんな気がするよ」

凄いことになってきたぞ…!

明日は双方、総力戦になる

まずそれを前提としながらも、肝心要の本郷麻衣自身は、その枠から外れて自らの戦いに臨むというのか…

テツヤの寝ている病室は一変、明日を控えた作戦司令室の様相を呈してきたぞ!






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