同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

side大和

 
 一年前の誕生日。
 紗良から、解放して欲しいと言われた。

 驚いた。そして自分の馬鹿さ加減に呆れた。
 そう、わかっていたんだ。

 もしかすると紗良が俺を試そうとして、最近はわざと連絡してこないのではないかとわかっていた。
 そして、美紀さんとのことを勘違いしているであろうこともわかっていたんだ。

 それなのに、目の前のことをこなすという理由で見て見ぬ振りをしてきた。
 怖くて、今の紗良にどういったら信じてもらえるのか、どうやったら繋ぎとめることができるのか。
 そういったことから、考えることから、逃げていた。

 「こうやって、私の所に来てくれるのに、どうして?どうして抱いてくれないの?」
 
 「……貴女は、俺を椎名課長の代わりにしたいんですか?」

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