Sunny Sunday

ふぅ……


俺は少し遠い所を見つつ、

「飼い犬に手を噛まれるってこうゆうことを言うのかな……」

「飼い主がしっかりしてれば噛まれることもありませんよっ!」


そしてシロは少し閃いた様な顔をして、

「んー、お詫びとしてあれ弾いてくださいっ」


と、楽しそうに店の奥にあるピアノを指差す。


「う〜ん、まぁいっか。たまにはちゃんと餌をあげないとね〜」

「おねがいしま〜すっ」

と、シロは本当に嬉しそうに喜んでいた。




自分のグラスに残っている酒を飲み干し、ピアノの前に移動する。
鍵盤の前に置かれている、ピアノに合わせた色と形をした長椅子に腰を降ろし、手を握ったり開いたり。

そして、


ふと、
明日、奏が帰ってくる。
そんなことを思い出しながら……。



目の前に在る白と黒の鍵盤の上へと、俺は指を踊らせ始めた。

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