アタシはヒミコ
二神山の方角から地響きが起こった。

その音が次第に大きくなり、一気に村を飲み込んだ。

サルタは暫しの間、何が起きたのか分からなかった。

ふと我に返り慌てて表に出て見ると、大量の土石流が村を覆っていた。

彼の家は高台に在ったため、難を逃れたが、大半の家は埋まっていた。

「ト・トヨ?!」

いきなり、彼の全ての脳細胞がトヨの無惨な姿を
形作った。

「うおぁー!」

サルタは三日三晩必死に泥を掻き分け、岩をおこして探したが、トヨの姿は見つからなかった。

サルタは爪の剥がれた手と村の惨憺たる有り様を見つめ、号泣した。








< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop