キミと放送室。




すぐに走って教室に戻ると、紗良と千春が驚いた顔をして駆け寄ってきた。


「あれっ、栞?!放送委員の仕事どーしたの?」


千春はお弁当を食べている途中だったのか、口をモグモグさせながら言った。


「えっと、急用ができて…」

紗良が私の後をついてきながら「栞ちゃん、どうしたの?」と言った。



「名波先輩と、話してくる」

紗良と千春にしか聞こえないようなトーンでそう伝え、いそいそと帰る支度をする私に2人は顔を見合わせた。




紗良は「あー…そうなんだぁ、」と言って有島くんの方をチラッと確認した。



「ねぇ、名波先輩って?何の話?」

千春は紗良に耳打ちしている。

千春はライブに行ってないから私と名波先輩との事を知らないんだ。


「千春ちゃんには、また説明するから…とにかく、栞ちゃん!栞ちゃんが決めたことなら私は応援するよっ」


「紗良…ありがとう」


「何かよく分かんないけど、私も栞の味方だよ!」

千春が続けた。


「千春もありがとう、行ってくるね」

私はそう言って教室を出た。





ずっと2人に劣等感みたいなものを抱いていた。

けど、それは私の心の狭さだった。

千春はいつも私を尊重してくれて、紗良は私の良いところをちゃんと見てくれていた。

私は2人の良いところ、羨ましがるだけで何も努力しなかっただけだ。

でも変わりたいと思った。

もうコソコソする生き方も、自信のない言動とも、さよならするんだ。














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