ぬいぐるみのぼくは、ずっと片想い

お母さん

女性は笑みを浮かべて、首を振りました。

「みおじゃありませんよ、みおの母です」

そういえば、、、

ぼくが彼女の家に行ったとき、
お母さんはもういませんでした。

彼女と一緒に寝ているときに、
「お母さん、お母さん」
とぼくを抱きしめながら、
泣いていたのを覚えていました。

お母さんがいなくなって、
悲しんでいる彼女のために
ぼくを連れてきたのでした。

「彼女はお母さんに似たんですね。でも、どうしてここに?」

「ずっと見ていたのよ。はじめて、弱いところを見せましたね」

「ご、ごめんなさい」

「いいえ、それが普通です。ぬいぐるみだって、人間と一緒だもの」

「ぬいぐるみが悲しんだら、だめじゃないんですか?」

「そんなことありません、あなたにはちゃんと気持ちがあるでしょう?」

「はい、実は……お母さんにお願いがあります」

「ええ、わかってますよ」

ぼくはもう辛かったのです、
限界でした。

ぼくの役目はもう終わった、
と思ったのです。
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