テディベアに生け贄を



眠りかけていた脳がふと、危険を察知でもしたのか意識が現実に帰ってくる。


周りを見渡して見れば、皆教室のドアに意識を向けていてクラスメイト、先生でさえ恐怖を滲ませたような表情をしている。



いそいで、皆が目を向けている方に目を向けるとある男子生徒が立っていた。


「おはよーございます」



黒髪に、どこか不思議な雰囲気のある整った顔。



目を一瞬にして彼に奪われた。



そして、特に目を引いたのは、鮮やかな赤いネクタイ。


うちの学校のネクタイの色は全てネイビーのはずだから、赤いネクタイなんてないはずがないのだけれど


赤いネクタイ以外の制服は全てうちの学校の制服のものだから彼は一応、うちの学校の生徒であることを物語っている。


ただ、あんな生徒は見た事もない。


まさか、彼はテディベア、なのではないか。



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