②Sparkl

マネージャーとアイドルと




「うわぁ……違和感がすごい」

「違和感?桃と同じ顔だよ?可愛くないわけがないよね!」


普段メイクをしない私は、桃に魔法をかけられた。


まつ毛は茶色に染められて、まぶたにはキメ細やかなキラキラを。


頬にふんわり乗せられたチークは、これからの季節にぴったり。


それとお揃いの色をしたウィッグをかぶって、同じ衣装を着たら……


「ふふっ、桃の分身みたい!」

「ふふっ、百合ちゃんってば、相変わらず桃のモノマネが上手!」


どっちがどっちなのか、自分でもわからなくなりそう。


「リーダー命令、ちゃんと聞かなきゃだね」

「そうだね、百合ちゃんは全力でやらないとだね」


おでこをくっつけて、誓いのようなものを立てた。


私は桃になれる。


ずっと、長いこと一緒にいるんだ。


アイドルを目指す桃の応援をしたくて。


頑張る人の気持ちを知りたくて。


アイドルの辛さや苦しさを、身をもって知りたくて。


一流のマネージャーを目指すからこそ、一流を目指すアイドルと同じこともやってきたんだから。


< 9 / 30 >

この作品をシェア

pagetop