君がいなくちゃダメ。
「……ってかマジでさ、お前らどっちかに彼氏彼女できた時どうすんの? さすがにいつまでもこんなんじゃ、相手の子が可哀想だって」


「……可哀想ねぇ……。ま、俺はべつに今彼女とかいらないし、なずのやつなんて男にすら興味無いしな」


「とか言ってると、ある日突然、なずちゃんが男つくるかもしんねーぞー?」


「なずが? ……はっ、ありえないだろ。色気より食い気なやつだぞ」


今朝だって、マショマロの大群とかいう訳分からん夢見てたっぽいし。


「うーむ……まぁそれも一理あるな。──いやでもっ! なずちゃんだって、急に気が変わることがあるかもしんねーだろ?」


「あいつがねぇ……」


まったく想像つかねー……。


「それに今すぐではなくても、いつかは来る話だろ。……その時、柚希はなずちゃんから離れられんの?」


「…………」


急に本気な顔で聞かれて、俺は考える。


俺が? なずから?


……いや、俺じゃなくて“なずが”だろ。


俺はべつに、離れようと思えばいつだってなずから離れられるし。


どっちかっていうと、なずのほうが俺から離れられないだろ。


──そうだ。


もしなずにそういう相手がいつかできたとしても、そっと背中を押してやるくらいはいつでもできる。


だって、俺にとってなずは“妹”みたいなやつなんだから──。

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