またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「……皆か」

 顔は見えないけれど皇子の声が、寂しさで滲むのは何故だろう。

「そうでございます。赤兄殿も皇子様についておられるのですよ」と、大岩さんが必死に説得しようとしている。

 だけど、赤兄さんは中大兄皇子の……。

「私は、大王の地位など望んではおらぬ」

「み、皇子様!?」

 衣擦れの音に顔を上げると、皇子がサッと立ち上がった。

「拝謁し、民が困惑していると持ちかけてはみる。しかし謀反など以ての外。赤兄には私から申しておく」

「み、皇子様! お待ち下さい!」

 そして大岩さんを振り払うと、皇子は部屋を出ていった。

 赤兄さんが皇子側についたと大岩さんは言っていた。だけど、そんな簡単に信じていいものなのだろうか。

 その瞬間、私の頭に嫌なニ文字が浮かぶ。

 だけど皇子には、大王になる意志はないから。大丈夫だと、信じたい。
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