またキミに会うために~1400年の時を超えて~

うさぎ


「痛たたた……」


 背中の痛みで目を覚ます。

 目の前には橙色の空。
 そして黒いカラスが二羽、カァーカァーと鳴きながら飛んでいる。

 どうやらいつの間にか、夕方になってしまったらしい。

 そして私は、何故か倒れているようだけれどその前後の記憶が曖昧だ。

 確か課外授業で呪いをする役に抜擢されて。藤白神社で風も吹いていないのに揺れる葉について行って。皇子の祠の前で麻美に呼ばれて………。

「あ!」

 そうだ、お参りしないと!
 スマホでゲームをしていて、そのまま倒れていたなんて意味がわからないけれど、さすがに浜田に怒られる。

 しかし、咄嗟に起き上がった私はやっと異変に気づく。

 私がいたのは、藤白神社のはずだ。

 そして楠の下にいたはずなのに、どこを探しても楠も藤白神社の本堂もない。

 それどころか……。
< 23 / 204 >

この作品をシェア

pagetop