意地悪警察官さんは、同担拒否で、甘々で。 ーワケアリ暴君様と同居していますー

第10話

〇昼休み あいの学校 教室

あい、みあさ、夏帆の三人でお弁当を食べている。
スマホが鳴ったのを手にとるあい。

あい「!」
あい(昴さん! ……プレゼント、うまくいったのかな)

昴[スマホ画面]『この前はありがとう! 妹もすごく喜んでくれました! あいちゃんのことを話したら、ちゃんとお礼をしてと言われてしまったので…改めてお礼のお茶とかしたいんだけど、今日の放課後とか、今週末とか…あいてたらお時間もらえると嬉しいです』

そのメッセージをみて、ニマニマしてしまうあい。

あい(……昴さん、なんかロウくんに被るんだよね……きっと昴さんの妹も、昴さんのこと大好きなんだろうな……)

夏帆「ニマニマしてる~! 誰!? 誰からのメッセージ?」
みあさ「どうせあいのニマニマは〝推し〟からでしょ」
夏帆「あー、お兄ちゃんか。ホーム画面でいっつも見てるじゃん」
あい「な……何が悪いの!推しがお兄ちゃんだっていいでしょ! それにこれは違う人だし!」

夏帆とみあさの表情が輝く。

みあさ「大河さん!? ついに大河さんにニマニマしちゃうように!?」
あい「いや大河さんは絶対ないし…」
あい(この前も、同担拒否ムーブからの流れるようなマウンティングくらってるし……) 

げっそりした顔のあい。

夏帆「じゃあ誰なの?」
あい「えーと……最近知り合った人! なんかね~ロウくんみたいな妹思いの優しいお兄さんでね……」
みあさ「おっけー、お疲れ様でした」
あい「ちょっと! 聞いてきたのそっちじゃん!!」

話が長くなりそうだとぶったぎったみあさ。ふざけながらケラケラ笑っている三人。

あいは昴に返事を送り始める。

あい[スマホ画面]『喜んでもらえて嬉しいです! お礼は少し申し訳ないくらいですが…! 週末大丈夫です! 明日土曜日はどうでしょう』
昴[スマホ画面]『よかった! ありがとう! それじゃあ、前と同じ駅の前で集合で、10時くらいはどうかな』
あい[スマホ画面]『はい! 楽しみにしています!』



○土曜日 朝 大河とあいの家 あいの部屋

ごんごん、と力強めにあいの部屋をノックする大河。

大河「……」
大河(……お前が起こせつったんだろうが)

もう一度ノックする。

大河「……入んぞ」

あいの部屋にずかずか入ってくる大河。
あいはまだベッドで思いっきり眠っている。

大河「……」

ぐっとあいの顔に顔を近づける大河。あいの寝顔を見ている。
あい、大河の気配でようやく覚醒しはじめるも、大河の気配が凄く近くて動けず、寝たフリを続ける。

あい(……大河さん、顔ちか……何……!?)

ドキドキしながら大人しく息をひそめていると、大河は無言であいの額に軽くデコピンした。

あい「いっ…たぁ!!」
大河「早く起きろ、朝飯片付けんぞ」
あい「うぅ~~……こんな痛くして起こしてなんて言ってない……」


○朝 大河とあいの家 リビング

朝ごはんを食べてすぐ、ばたばたと出かける準備をしているあい。
自分より先に出ていく様子のあいがめずらしくて眺めている大河。

大河「……出かけんのかよ」
あい「そー! いってきます!」
大河「前にうちにきた二人と行くのか?」
あい「ううん、違うひと。ロウくんみたいな感じの……LINOとかでやり取りして仲良くなったんだ~」
大河「……は? 男?」
あい「ん?? そうだよ」

大河、急に怖い顔になる。

大河「ダメに決まってんだろ……今すぐ断れ」
あい「はぁ!?」

あい、前と同じように自分の意見を頭ごなしに否定されてカッとなる。

あい「前と一緒! 大河さんはいっつも否定ばっかり! こーあつ的に、怒鳴ればいうこと聞かせられるって思って!」
大河「声がでけえのは仕方ねえだろ、そういうもんなんだから! つーか問題はそこじゃねえよく知らねえ男と出かけるってとこだろうが!」

やっぱり大きな声を出されるとビクッとなってしまうあい。またちょっと泣きそうになるも、ぐっとこらえて口を開く。

あい「私の事どうして信頼してくれないの? もう高校生なのにそんなこと言って! 大河さんは私のお兄ちゃんじゃないし、親でもないじゃん! た…他人だよ!」

その言葉を聞いて、ぐっと唇を噛み締めるような表情を浮かべてだまりこむ大河。

あい(……あ……わたし……ひどいこと、言って……)
あい「……ごめん、でも……大丈夫だから。行ってきます」

黙り込んだままの大河から、逃げるように家を飛び出すあい。


○昼 駅前 

待ち合わせ場所でひとり、しょんぼりした顔でため息をついているあい。

あい(……最悪だあ……普通に落ち込む……。どうやって謝ろう……)

昴「……元気ない?」

パッと顔をあげたあいのことを、昴が心配そうな顔で覗き込んでいた。

あい「あ! 昴さん! ごめんなさい朝からこんな……」
昴「ううん。大丈夫? 体調とか辛かったら今度でも……」
あい「ぜーんぜんです! 大丈夫です! さあ! 行きましょうー!」
昴「……ありがとう。アフタヌーンティとかって好き? 妹にそういうのがいいんじゃないかって言われて……。オレも、気になってたけど男一人とかだと行きにくくってさ……」
あい「えっ! わ……私いつかアフタヌーンティするのが夢だったんです! うれしい!」

にこやかに歩いていく昴とあい。

あい(……今は楽しんで、それから……自分の気持ちをちゃんとしてから、謝り方を考えようっと……切り替え切り替え!)

お店で楽しそうにしている二人のカット。
アフタヌーンティの3段になったスタンドに目を輝かせるあい。
スタンドと紅茶の写真を撮っている昴。
きらきらしたケーキやお菓子、紅茶に囲まれて幸せそうなあい。


○昼 街中

お店から出てすぐ、会話を交わす二人。

あい「わー…本当、もらってばっかりですみません…すっごくおいしくて、楽しかったです…」
昴「こっちこそ! 男一人でアフタヌーンティはちょっとハードル高かったから、一緒に来てもらえてありがたかったよ」

ふんわりとした笑顔を浮かべる昴。

あい(……ほんと、昴さんってかわいいなあ……ロウくんとは違うタイプの目の保養……♡)

昴「……もう少し、付き合ってもらいたいところがあるんだよね」
あい「どこですか?」

昴、凶悪な笑みを浮かべている。見たこともない表情に、びくっとするあい。

昴「……来れば、わかるよ」

突然あいの身体に衝撃が走り、がくんと身体から力が抜ける。
昴が手の中に小さなスタンガンを隠し持っていて、それを押し付けてきていたのだ。

あい(な……に……?)

力の抜けたあいの身体を、まるで恋人同士のように抱きかかえて連れていく。
そのまま、路上に停まっていた窓ガラスがスモークになっているバンに当たり前の顔で乗り込み、あいを後部座席に放り込む。

口が裂けたかのような、しかし目が笑ってないままの笑顔を浮かべる昴。

昴「……ちょっと、付き合ってもらうよ。餌として。……稲葉あいさん」

< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop