6月のシンデレラ


* * *


「馬鹿げてる!虎橋グループの副社長って、今38歳でしょ!?
仕事もロクに出来ないくせに、社長の息子ってだけで副社長になった馬鹿息子って有名よ!」

「詳しいね、舞ちゃん」

「うちの出版社でも有名だもの。何回か見たことあるけど、小太りのハゲ親父じゃない!
あんなオヤジに永美里は渡さない!!」


彼女は私の二つ上の幼馴染、舞ちゃん。
昔から私のことをいつも心配してくれて、本当の姉のような大切な存在だ。

舞ちゃんは一流大学を卒業し、この春から大手出版社の雑誌編集者になった。


「永美里、まさか結婚するつもりじゃないでしょ?」

「うん、しないわ」

「そうよね…!」

「だって私には、迎えに来てくれる王子様がいるから」

「まだそんなこと言ってるの!?」

「そうよ?」

「永美里…、あんたもう21でしょ?いつまでそんな夢見がちなこと言ってるの?」



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