王子様の溺愛は、とことん甘い×その甘さ、毒牙につき【エイプリルフールSS】

そこでようやく、この人が伊咲さんの彼氏であるということが判明した。



そして、この状況が入れ替わりであるということにもう気がついている。



相当勘がいい人なんだな…。



「君の名前は?」



「へ…?わ、私の名前…ですか?」



いきなり聞かれて少し戸惑う。



それは、『宮村芙羽梨』としての…っこと?



「“本当の”名前の方ね。ちなみに僕は瑞樹千冬。瑞樹でいいから」



あ、やっぱりそっちの名前なんだ。



「えっと…宮村芙羽梨、です」



この体でこの名前を名乗るのは、何だか変な感じ…。



「ん、宮村ね。頑張るよ、宮村も早く元の体に戻りたいでしょ」



「は、はい…!」



瑞樹さんのやる気に満ち溢れた声に、勢いよく返事をした。



どうなるか分からないけど、手伝ってくれる人がいると思ったら少し気分が楽になった気がした。
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