日替わりケーキとおしゃべりタイム

ちょっぴり大人なラズベリータルト

「お待たせ」

待ち合わせ場所に来た井上くんを見て、思わず見惚れてしまった。

周囲の女性たちが釘付けになるのも納得する、抜群のスタイル。モデルのような小顔に、おしゃれな清潔感のあるファッション。

「梅田?」

「あっ、うん」

ぎこちない返事をしてしまい、初っ端から失敗したと思った。

「梅田の私服、初めて見た」

「どんなお店か分からなくて…何着ていくのが正解なのか分からなかったんだけど…変じゃない?」

「うん。似合ってる」

さらっとそう言って、なぜか私の頭をポンポンと撫でた井上くん。

距離、急激に近くなってる気がする…。

ドキドキしてしまった事を必死で隠しながら、井上くんの隣を歩いていく。

「おしゃれだけど、リーズナブルなバーなんだ。俺の大学の友達が店長やってる」

「よく、行くの?」

「うん、結構週末は顔出してるかな。気の知れた仲だから、気分転換にもなるし」

嬉しそうに話す井上くんは、いつもより確かにリラックスしているように見える。

「ここ」

地下へとつながる階段を降りると、おしゃれな木目調の扉があった。

ゆっくりと開けて、井上くんが先に中へと入る。

「いらっしゃいませ。おー、翼。いつもの?」

「うん。あっ、その前に、今日はもう1人お客さん」

井上くんはそう言って、私を手招きした。
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