彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】

就職

 
 カランカラン♪

 「いらっしゃいませ~こちらへどうぞ」

 いつも通りの朝。モーニングは忙しい。

 父や母と一緒にこの二号店を出してから、前の店よりも場所が駅に近いせいか、若い人が客層に入り込み、非常に人気店となった。

 チェーンといっても、実家の一号店のほうは住宅街にあり、その近所の商店街の人など街の喫茶店の趣だ。

 そちらは兄が継いだ。祖父の店だが、祖父は病気で二年前亡くなった。兄が隣の家に住む緑ちゃんと切り盛りしていたが、その緑ちゃんとようやく春に結婚した。
 
 緑ちゃんは私達兄妹の幼馴染。緑ちゃんはずっと兄を慕ってくれていた。彼女は会社勤めをしながら土日は店に出て兄を支えている。

 兄は彼女に会社を辞めさせようと攻撃しているらしいが、うまーくそれをかわしている緑ちゃん。

 所詮、兄なんて緑ちゃんには敵わない。溺愛しているから嫌われたくないのだ。男ってだめね。

 先週のことだ。二号店で両親と共に店を切り盛りしている私に突然、就職のはなしが舞い込んだ。

 「森川さん、良かったら当社に入りませんか?」
 
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