鬼の子

「・・・・・何もねぇよ?」


ほら。と両手の手のひらを広げて見せてくれている。綱くんの手に何も異常が出なくて心の底からホッとして思わず、はあ、とため息が出た。



鬼の子に"接吻(キス)されたものは死す"
鬼王(きおう)家の蔵に眠っていた古い書物に記されてあった。



それは唇と唇が触れた時のみとされるのか、唇以外でも触れてしまったら、死ぬことになるのか・・・・・。



令和の現在、真相を知る者は生きていない。
分からないままだった。


私が触れたら、鬼の子の呪いで殺してしまうのではないかと、誰かに触れることも怖くて出来なかった。
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