迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。

それから数日間は、噂の渦中である私に、いろいろ聞いて来る女性もいたが、それも徐々に治まりはじめていた。

人の噂も七十五日というが、1週間もすると、わざわざ私に何か言いに来る人も減ってきた。

やっと静かな日常に戻りつつあるときだった、突然に高校時代の友人から結婚式の招待状が届いた。
その友人とは、だいぶ連絡をとっていなかったので、少し衝撃である。
水漏れしたアパートには週に一度郵便を取りにいっている。
郵便ポストの前で、思わず大きな声をあげてしまったほどだ。

さらに二次会ではお祝いも兼ねて、クラスの同窓会もするらしい。
久しぶりに懐かしい友人たちに会えると思うと、嬉しく心も弾んでいた。

高校生の頃、私には初めて付き合った彼氏がいた。それは同じクラスの青柳君だった。
卒業後は別々の大学に進み、自然と付き合いは終わってしまったが、私には初めての恋愛だったのだ。
忘れられない思い出だ。

私はすぐに出席の通知をすることにした。

そしてさらに思う事が有った。青柳君にも会えるかも知れないし、懐かしい皆に会うのだから、少しでも綺麗な姿で会いたいと思うのは世の女性の多くが感じる事ではないだろうか。

これからの1週間は弛んだ体を引き締めるために、ダイエットに励むことにした。


玲也にはいつも通りの夕食を作り、自分用にはサラダと豆腐を用意した。
すると、玲也は驚いた表情で私を見た。

「唯ちゃん、いきなりダイエットなんてどうしたの?」

「はい、高校時代の友人が結婚することになって、同窓会と結婚式があるんです。だから、少しでも綺麗に見せたいので…頑張ります。」

「なるほど、女性はいろいろ大変なんだね。」


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