捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 イオレッタの魔力は、精霊にとっては非常に心地いいというか美味しいものなのだそうだ。人間の身体というものは、常に微妙の魔力を放出している。
 その魔力だけでも心地いいみたいで、庭には多数の精霊が訪れている。イオレッタの魔力で力が戻ってきているとゼルマは言っていたから、どんどん精霊化しているというのもわかるようなわからないような。
「ゼルマさんもそのうち神様になるかもしれませんね」
「たしかに」
 と横からタデウスが冗談交じりに口を挟む。
 湖の大精霊は、今では精霊神になったと公開されている。精霊神を目当てに来る観光客で、スィアの町は、今まで以上に栄えているそうだ。
「でも、珍しいですね。お二人で来るなんて」
「クライヴは他に用事があるんだよねー」
「こっちに合流するとは言ってたんですが」
 と話をしていたところで、呼び鈴が鳴った。遅れてやってきたクライヴである。
「悪い。遅くなった。これ、ゼルマに土産な?」
「ありがとうございます……って、今日皆さんゼルマに気を使うんですね」
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