仲良し地味くんは私の隠れ護衛でした。
「そんな……!忍ってヤツは、どんなヤツなんだよ!」

「ええ、忍くんは……大人しめで、足が速い子……?」

「勘違いだ千幸、ただ足が速いから好きなだけ!やっぱりお兄ちゃんが——」

「勘違いってどういうこと……?別に忍くんは友達なだけだよ」


お兄ちゃん、何を考えているだか……。


「本当にそうか?だってお前、ソイツのこと話してる時、すごく——」

「坊っちゃまお嬢様、ご夕食の時間になります」


お兄ちゃんが何か言いかけた中、使用人が遮ってそう知らせてくれた。

どうせまたわけのわからないことを言われるのだろうから、ちょうどよかった。


「お兄ちゃん、一緒に行こう?」

「っ!ああ、そうだな千幸!行くぞ!」


どうにかお兄ちゃんのご機嫌も取り戻し、私は久しぶりの家族水入らずな楽しい晩餐を過ごしたのだった。
< 51 / 239 >

この作品をシェア

pagetop