溺愛少女と鈍感男子

第1話

〜休み時間〜
ギラギラと日本人にとっては痛いほどに強い日差しの太陽の下、お昼過ぎの中学校の校庭。
幼い少年は太陽の光と走り回る
若い少女は太陽を退けて話し続ける
生徒たちは午前中の授業を耐え、昼食を食べ終えると各々の好きなことをする。
そんな彼らの姿は授業や委員会でしか使われない西校舎からはそんな彼らの姿ははっきりと見える。アリのように小さいが、一人一人がどんな顔でどんな事をしているのかがはっきりと見えるのだ。
そんな彼らを裏山の目で見ているものが1人いた
「…」
「羨ましいんですか?」
この学校の2年生、花狩 秋良。そして、そんな彼を見て声をかける1年生の風嵐 白兎。
「別に、羨ましいとかじゃないさ。窓があったからその景色を見てた。それだけ」
「そうですか。もしそれだけでしたら、目の前にある補修課題さっさとやってください」
秋良の目の前の机には、ワークや各教科のプリントが置かれていた
「…別に、補修しないといけないほど成績悪いわけじゃ無いよ?俺」
「成績はよくても、ズル休みしたんだからしょうがないでしょ」
「はぁ、高1数学とか楽だよな」
「そんなことないです。中学からのギャップに私だって苦しんでるんですから」
そして、秋良はまた不貞腐れながらも課題に取り組む。その対面で白兎は本を読んでいる
「あと、ずっと疑問だったんだけどなんで白兎いるの?」
「先生にあなたの監視を頼まれたんです。放課後の委員会であなたがいないと困るからって」
「あー、わかった。じゃあ明日までのやつからやれってことね」
「委員会があろうとなかろうと期限が近いものからやっていくのは当たり前でしょ」
「白兎は毒舌キャラじゃないでしょ」
そう言って、秋良が待っていたペンを白兎に向けながら笑いかけると白兎は「べーっ」と舌を出してすぐに視線を本に戻す
そんな白兎に対して秋良は苦笑して「生意気だ」と呟くと課題に向き合った

キーンコーンカーンコーン
授業が始まる前の予鈴がなる
「どこまでできました?」
「今日委員会いける程度にはできた」
「それじゃあ、帰ってからも頑張ってくださいね」
「はいはい。白兎ももう教室帰らないとでしょ。俺も移動教室だからもういくよ?」
「はい、それじゃあまた放課後に」
「うん。」
そして、2人の生徒はそれぞれの教室へと反対方向に進んでいった。

〜放課後〜
「は〜くと」
「なぁに?雪」
終礼が終わった白兎は委員会に行くためにそそくさと準備を始める。そんな彼女はクラスメイトの1人に絡まれていた
「この後、放課後にカフェ行こ。」
「行きたいけど委員会」
「あ、あのイケメンの先輩とのやつ?」
「先輩…?…あ、花狩先輩のこと?」
「そうそう。今日の昼休みも一緒にいたでしょ」
「あれは仕事。なんで雪が知ってるのよ」
「雪ちゃんの情報網舐めるんじゃないぞ。元々白兎と花狩先輩は噂あるんだから」
「なんの噂よ…とりあえず私もう行くから続きはまた明日ね」
「はーい…じゃ、明日カフェ行こ」
「もちろん」
そして、白兎は会議室へと進む。

白兎side
「風嵐、遅くなりました。」
「お、白兎お疲れ」
「お疲れ様です花狩先輩」
「さっき先生が来て今日やること伝えてくれたからそろそろ委員会始めるぞ」
「はい」
そして、委員会が始まった。
2年生のリーダーの花狩先輩が仕切って私は1年生のリーダーとして先輩の補佐だ。
3年生は受験があるから委員会には参加しない。
私たちは図書委員会。図書館の管理が主な仕事だ。各学年のリーダー以外は当番制で図書館の受付をする。リーダーは毎日の貸出、返却を確認して紛失した本やそのまま盗まれてしまう本がないかを確認する。
「今日は今度の文化祭でやる古本市の本の収集かな。各々自分たちのクラスで声掛けして収集しておいてね。文化祭までまだまだあるけど呼びかけは早い方がいいから」
そこで、花狩先輩が話を終えようとするから私は慌てて補足情報を足す
「集めた本は図書館の受付の内側に箱を用意しておきますので、自分の当番の日にでも入れておいて頂ければ私たちの方で回収します」
「あ、その情報忘れてた。ありがとう、白兎」
そう言う先輩に私は少しお辞儀をする
「まぁ、今日のやることはこれぐらいだから後は各曜日からの報告で終わりかな」
そして、各曜日の受付が報告をする。滞納常習犯の人の共有や破損した本などを報告すれば時刻は下校時刻ギリギリ
「それじゃあ,もう遅いし解散!お疲れ様」
「「お疲れ様でしたぁ」」
委員会の他のメンバーが帰ると広い会議室に私と先輩だけになった。窓の外は火が傾き始めていた
「白兎、帰ろう」
「はい」
委員会の帰りはいつも先輩が家まで送ってくれる。
私の家までの道、たいした話はしない。私が勉強で分からないところを少し聞いたり、先輩が趣味のマジックの話を一方的にしたり。くだらないことばかりだ。
そんなことをダラダラと話していてもあっという間に私の家に着く
「そんじゃ、ここら辺でいいかな」
「はい、いつもありがとうございます」
「んーん。じゃ、また明日な白兎」
「はい、それじゃあまた明日に。」
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