私のしあわせな結婚
第7話
あの一件が原因で、起史《たつし》は否定的な考えを強く持つようになった。

房代《ふさよ》は『結婚したらぺちゃんこにつぶされるからイヤ!!』と口走った。

房江《ふさえ》は、起史《たつし》と房代《ふさよ》が否定的な考えを持つようになったのでひどくおたついた。

ひとりでオタオタおたついている房江《ふさえ》は、起史《たつし》と房代《ふさよ》に求めるだけ求めていることにまだ気がついていない…

だから起史《たつし》と房代《ふさよ》は、しあわせな結婚ができない…

…と言うことだろうか?

もっとも悪いのは、勝《まさる》からのプロポーズをOKした華保《かほ》の結婚問題である。

あとになって、勝《まさる》が華保《かほ》の婚約者の男性からピンチヒッターを頼まれていたことが分かった。

華保《かほ》の婚約者の男性は、7ヶ月前に会社からホーチミンの駐在所勤務を命ぜられた…

華保《かほ》の婚約者の男性が1年間ホーチミンに滞在するので、華保《かほ》に会うことができない…

だから、男性はなかよしの勝《まさる》にピンチヒッターを頼んだ…

勝《まさる》は、婚約者の男性に代わってプロポーズした…

ところが、7月10日頃に華保《かほ》の婚約者の男性が現地で深刻なもめごとを起こした…

華保《かほ》の婚約者の男性は、同じ駐在所に勤務している女性スタッフさんにセクハラをした…

被害を受けた女性は、首をつって命をたった…

華保《かほ》の婚約者の男性は、被害を受けた女性スタッフさんの夫から8000兆ドルの損害賠償を払えと訴えられたので、ドロ沼になった。

一方、勝《まさる》も仙台の支店が企画したバスツアーで勝手なことをした…

それが原因で、バスツアーで使用したバスが谷底に転落してツアー客全員が死亡した…

勝《まさる》は、ケーサツに逮捕される恐れが出たようだ…

もめごとの張本人である華保《かほ》は、反省の色がまったくないので周囲《まわり》からより強い反発を喰らったようだ。

話は変わって…

7月15日の朝7時40分頃であった。

房江《ふさえ》の家族たちが暮らしている家の広間にて…

ダークブラックのスーツ姿で、黒の手提げかばんを持っている起史《たつし》は、ものすごくいらついた表情で家から出ようとした。

房江《ふさえ》は、家から出ようとした起史《たつし》を止めた。

それが原因で、深刻なもめごとが発生した。

「起史《たつし》!!」
「なんぞぉ!!」
「どこへ行くのよ!?」
「おれは急いでいるのだよ!!会社へ行かせろ!!」
「きょう1日だけ休んでよ…」
「なんで休まなきゃいかんのぞ!!」
「きょうはみんなでごはんを食べに行くのよ…」
「なんで勝手に予定を入れた!?」
「勝手に予定を入れたことは悪かったわよ…だけどきょうしか空いてる日がないのよ…」
「ふざけるな!!オドレはオレになにを求めているのだ!?」
「おかーさんは、起史《たつし》にチャンスを与えたい…」
「あんたの言うチャンスとはなんや!?」
「おかーさんは、起史《たつし》にしあわせになってほしい…」
「しあわせなんかいらねーよ!!」
「起史《たつし》!!」
「オラ!!会社へ行かせろ!!」
「きょうは休んでよ…」
「なんで休まなきゃいかんのぞ!?」
「おかーさんが職場に電話するから…」
「オドレどけ!!」

思い切りブチ切れた起史《たつし》は、右足で房江《ふさえ》をけとばして倒したあと、手提げかばんを持って出勤した。

端で聞いていた房代《ふさよ》は、房江《ふさえ》に対して冷めた声で『ノッツェ(結婚相談)へ行く…』と言うたあと家から出た。

家に取り残された房江《ふさえ》は、ものすごく困った表情であたりをキョロキョロと見渡した。
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