10歳差の王子様
「…太陽はいいな」

「ん、何が?」

「…結局、ずっと昔から美羽のこと好きだったんだろ?」

「まぁな」

「お、素直になりましたねぇ」


あんなに言い合ってケンカばかりしてたのに、あれは愛情の裏返しだったとか。それに気付けなかった俺のがだいぶ子供だ。

だって俺は…


「碧斗だってそうだろ?」

「ん」

「あさひさんのこと、ずっと好きだったんだろ?」

「………何一つ届いてないけどな」


あさひとは一度もケンカをしたことがない。

それは仲が良いからって思ってた、でも実際はあさひが俺なんかを相手にしてなかっただけ。ケンカをする相手にもなれなかった。


美羽が走って来る。相変わらずふわっとした長い髪をなびかせながら。


もし今あさひが同じ高校生だったら、当たり前のようにそばにいられたのかな。

今だって手を繋いで、笑い合いながら。


「碧斗も素直になれよ」


ブランコから太陽が立ち上がった。


「俺は昔から素直だよ!」
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