雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 参加者のスケジュール調整をした結果、久保田がセッティングしてくれたのは二週目の金曜日の夜だった。

 銀座のふぐ料理の名店を貸し切っての会食となった。
 参加者は安藤監督を始めとする制作スタッフ20名に、ヒロインの佐伯リカコを含めた俳優組の4名、それから原作者の望月先生と奥さんの今日子さん、ウエストシネマズからは阿久津部長、久保田、雨宮課長、私となった。全部で30名の参加者となる。

 お座敷の指定された席に着くと、今夜のコース料理の説明を着物姿が素敵な美人女将がしてくれる。
 大分県から直送された天然のとらふぐを使って、お刺身、唐揚げ、鍋でふぐを味わう贅沢コースとなっているそう。
 話を聞くだけで美味しそう。

「中島さん、よだれが出ているよ」
 左隣に座る雨宮課長にからかわれる。
 総務部の私たちは隣同士で座っていた。

「出てませんよ。もう」
 軽く睨むと課長がクスクスと笑う。
 テーブルの下でこっそり課長の太腿を人差し指で突っついてやった。すると課長が私の指を小指で絡めとる。
 驚いて課長の方を見ると、素知らぬ顔で向かい側の久保田と話し始めた。

 課長の……拓海さんの悪戯に甘い気持ちになる。
 テーブルの下で私と拓海さんの指が触れ合っているなんて、この場にいる人たちはきっと気づかない。
 なんか拓海さんと二人だけの秘密のような気がして、ドキドキする。

「中島さんはどう思いますか?」
 いきなり久保田に話を振られてドキッ。
 拓海さんがドキドキさせるから全然話を聞いていなかった。
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