雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
「顔が死んでるよ」
 12階のカフェバー隣にある社食でとんかつ定食を食べている時に桃子に言われた。
 総務部に異動になってからは同じフロアにある人事部の桃子とランチをとる事が増えた。

 お昼の時間にちゃんと休憩が取れるようになったからだ。宣伝部にいた頃は社外に出ていた事も多かったし、忙しくてお昼の時間に食べる事はあまりなかった。今は規則正しい生活を送れているが、味気ない。宣伝部が恋しい。

「そう言えばさ、聞いた?」
 桃子が急に声を潜める。話したくて仕方ないって顔をしている。

「雨宮課長ってさ、昔」
 ぴくん! 耳が反応する。
「雨宮課長がどうしたの?」
「あ、雨宮課長!」

 桃子が急に慌てた様子で会釈をした。
 桃子の視線を辿って後ろを向くと、白トレーを持った雨宮課長が立っている。
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