雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 東京駅で久保田と合流した。残念ながら成瀬君を見つけられなかったよう。沈んだ久保田の様子を見て、必死に探してくれたのだとわかる。

「久保田、しっかり」
 バンッといつものように久保田の背中を強く叩いた。
 今は落ち込んでる場合じゃない。ダメだったら次の手に行かなければ。

「佐伯リカコの事務所に行くよ」
「日曜日にやっていますかね?」
 うっ。当たり前の事を忘れていた。だからマネージャーの森さんと連絡がつかないのか。でも、事務所に行くぐらいしか今は浮かばない。

「大丈夫。エンタメ系はやっている」
「うちの会社もエンタメ系ですが、基本的に日曜日は休みですよ」
 今日に限って久保田のツッコミが的確だ。普段はそうじゃないのに。
 どうしようか考えていると、スマホが鳴る。望月先生からの着信だった。
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