トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー
「嫁に似て、すごくかわいいんだ。
美人が、家にたくさんいるのは楽しいだろう?」

「奇妙なのろけ方だな」
チェイサーは苦笑いをした。

「さて、帰るか。俺は嫁さんが待っているからな」

「ここを使わないのか」
チェイサーのその言葉に

「そんな事をしたら、家から追い出されるだけじゃない、殺されるかも」
ブラントンは、幸せそうに笑った。

カチャリ

ドアが開いて、マダム・ルルが入って来た。
その後ろに着飾った娘がいる。

「この子は初のお目見えなの。
チェイサー様に、ぜひに、と思って」

娘は緊張しているせいか、
こわばった表情でなんとか笑顔をつくった。

目鼻立ちの整った美しい娘だが、
体つきは幼く華奢な印象だ。
確かに、こういうタイプを好むオトコもいる。

チェイサーは娘を一瞥すると、
口を開いた。

「俺は熟女タイプがいいんだ。
アンタみたいなのがな」

「あらぁ、お世辞がお上手だわぁ。
でも、アタシはオトコなの。
それでもいいのかしら」

チェイサーは開いた口がふさがらない。
そばで、ブラントンが口を押えて笑っている。

「わかりました。
ベテランで、お好みそうな女の子は別にいますから。
どうぞ、こちらへ」
マダム・ルルは、営業用笑顔で卒なく案内をした。

「行ってこい。
すっきりして、明日は仕事だぞ。
9時に王宮だ」

ブラントンが、チェイサーの背中に声をかけた。

扉のそばで、マダム・ルルの連れて来た娘は、
スカートの裾をつまんで、深々と頭を下げた。

ああ、あの夢の娘も・・
こんな感じだったのかな

チェイサーは娘とすれ違った時に、なぜかそんな思いがかすめた。
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