トランス・ブルー・ラブ  リアランとチェイサー

酒場の面接

その街の繁華街は賑わっていた。

密集している建物のあちこちの窓は、開け放たれ、
女たちのかん高い嬌声が響く。

今回の面接は、風変りだった。
相手が酒場を指定してきたのだ。

それも、軍隊の士官クラスが使う高級な場所だ。

その酒場のドアを開けると、給仕の女がすぐに声をかけた。

「お客様がお待ちです。どうぞ、こちらに」

酒場は、客で賑わいを見せていたが、奥の一角に衝立で仕切られている場所があった。

給仕の女がニコッと笑ったので、
チェイサーはチップをその手の平に置いた。
「お客様、こちらです。ごゆっくりどうぞ」

衝立の隙間から顔を覗かせると、
一人の男が、どっかり座って酒を飲んでいる。

「よぉ、チェイサー、ひさびさだな」
よく知った顔で、緊張が一気に抜けた。

「お前だったのか。ブラントン・・」

ブラントンと呼ばれた男は、
仕立てのいい上着を着て、裕福な商人風だが、
目つきは素人らしくない、鋭さを持っている。

キナ臭い裏の業界を知っている人間には、ヤバイ奴だとすぐにわかるだろう。

チェイサーは勧められる前に、
対面の椅子にドカッと座った。

旧知の仲だ。
遠慮はいらない。

「こんなところで、何をやっているんだ?
今度は、危ない裏仕事なのか?」

目の前の金まわりがよさそうな男に、チェイサーは苦笑した。
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