君の全部になりたい【完】



「何、嫉妬?」



また色っぽい目で、私を捕える。



その目から逃れられなくて、



一線引いた答えをしないと、って



「…そんなわけないじゃんっ、爽は私の執事でしょっ」



自分で言ったくせに苦しくなる胸。



「んだよそれ、」



爽の目が悲しそうに揺れて、全身が痺れる。




「俺は、こんな関係クソ喰らえって思ってる。」




「っ、…」




思わず漏れたような呟きに、心が一気に重たくなる。



頭の中で何度も響く、その言葉。



「さ、っ…爽は、私の執事、嫌なの…?」



何かが逆流したように、一気に涙が押し寄せる。



やっぱり私のことが嫌だから、海外に留学したんだ。



きっと小さな頃からの決まりだから私の専属執事なんてしてるんだ。




「なんで、泣くの」




「だって、爽、っ、私のこと嫌いなんでしょっ?」



頑張って涙を止めようと唇を噛むけど、止まらないの。
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