今はまだ、折れた翼でも
あれ、そういえば、私、なんで“もう会えない”って思っていたんだろう。

“もう会えない”なんて、望くんは一言も言ってないはず。

もしかして、私の勝手な思い込み……?


そう思うとなんだかどっと力が抜け、その場にぺたんと座り込む。

いつのまにか望くんの手元へ回収されていたカーディガンが、私の肩へかけられた。



「映茉、こんなときに悪いけど風邪は大丈夫なのかよ」

「の、望くんっ!」

「え、なんだ」



少し戸惑ったその表情を見ながら、私は口を開く。



「私、望くんの隣にいてもいいかな……」



すると、望くんもしゃがんで私のことをさっきよりも強く抱きしめた。



「俺こそ、映茉の隣にいていいのかって感じだけど」



そう言う声色は、少し切なさが含まれている。私は好きだって気持ちを込めて抱きしめ返した。



「もちろんだよ。むしろ、いてほしいです」


「……分かった。ずっと、隣にいる」



抱きしめる力がさらに強くなる。



「……私も。ずっと、いるよ」



私は望くんの肩にそっと自分の頭を預けた。

頭がふわふわする。

夏なのに感じる体温は心地よくて、暖かい。


ありがとう。好きだよ、望くん。

ひまわり畑に囲まれながら、私たちはしばらくそのままでいた。




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