今はまだ、折れた翼でも
一瞬であたりに電気がついた。でも、それはただの電気と違う。



「わあっ、すっごいきれい!」

「カラフルだ~!」



周りの人たちが感嘆の声をあげる。

それもそのはず、消えた電気は停電なんかじゃなく、カラフルなイルミネーションの演出だったみたい。

知っている人はいない雰囲気だったので、開催者たちのサプライズだったのだろう。



「すごい……!」



私も例にもれず声をあげる。見えないずっと奥のほうまで続いているようだ。

そしたら今度は、上のほうでどかーんと音がした。


見上げてみれば、空には大きな花火があった。

その一発だけじゃなく、次々と打ち上げられていく。

それは、初夏の空に咲く花だった。
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