偽る恋のはじめかた





「自分で選ぼうと思ったんだけど、椎名さんに好きなもの選んでもらった方がいいかなって思って」


目を細めて笑う姿は、どこか照れているようにも見える。


「・・・・・・あ、ありがとう、ございます」

「あれ、あのピアスダメだった?」



まさか、私へのプレゼントだとは思ってもいなかったので、驚きを隠せなくてお礼の言葉が途切れ途切れになってしまった。


そんな私の様子を見て心配そうな目で見つめてくる。


「・・・・・・いや、嬉しいです。
けど、驚いちゃって・・・・・・」


だって・・・・・・驚くよ。
私へのプレゼントだなんて、思わないよ。
普通、好きな人へのプレゼントだと思うでしょ。



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